意欲こそエネルギー。

こんにちは。

12月に入ってからというもの、時間が過ぎるのが

更に早く感じられる毎日です。

午前中、11時に予約されていたTさんから

4～5分遅れるとの電話が入りました。

見えるなり「遅れてすみません」と律義に

挨拶されるのです。

聞くところによると考え事をしていたら

渋谷まで行ってしまったそうです。

草加から電車に乗り青山一丁目で降りるところ

乗り過ごしたとのことでした。

私も時々あります。

スマホなど見ていてうっかり乗り過ごし

”しまった！”と思う事があります。

でもTさんはいつも時間にゆとりを持って

出ていらっしゃるので乗り過ごしても

せいぜい2～3分の遅れで済みます。

話し方のトレーニングにカムバックされて

今日で3回目。

現在86歳です。

スタジオに見えている方の中で

最高齢です。

コロナで3年もブランクがありながら

基礎がしっかりしているので

少しトレーニングをしていけば

声もちゃんと出てきます。

コロナという事もありますが

その間

心臓の手術をされてペースメーカーを入れたり

他にも病気が見つかり

病院通いをされていたようです。

Tさんとの出会いは私が渋谷で教えていた頃の

受講生です。

今から17年ほど前になります。

60代で脳梗塞を患ったとのことで、当時は言葉が少し

不自由でした。

その後、発声練習をするうちに言葉も

ハッキリし、いろいろなところで挨拶を頼まれるまでに

なりました。

年齢と共に話す場も少なくなってきた頃に

コロナの流行。

86歳という年齢を考えても

話し方のトレーニングをしに

わざわざ1時間以上もかけて見えることは

正直もうないと思っていました。

それが先週お見えになり

今日で3回目です。

無理のないようゆっくり休みながら

声出しを行っています。

文章を読む練習で

「リニューアル効果・・・」という言葉が

出てきたときにリニューアルという

カタカナ語がうまく言えません。

そこで

発声・発音練習に

キャ　キェ　キ　キュ　キェ　キョ　キャ　キョ

シァ　シェ　シ　シュ　シェ　シォ　・・・・・

ビャ　ビェ　ビィ　ビュ　・・・

といった拗音を取り入れた練習をしました。

ところがうまく言えず

「もう年だから・・・」という感じで

自分で無理と決めつけていました。

そこで口を開きやすくするために

話し方のタクトを使って一語ずつ口を開けてもらったところ

ちゃんと発音できるのです。

スムーズに言えると面白くなるのでしょう。

繰り返しやっていくと

持ち前の大きな声できちんと言えたのです。

そこで例の文章を読んでもらったところ

「・・・リニューアル効果がりあり・・・」

と最も苦手だったその箇所がスムーズに

発音できたのです。

これにはご本人が感激。

出来なかったことが出来るようになるというのは

老若男女、誰しも嬉しいことです。

歳と共にだんだん滑舌も悪くなり

声もこもりがちになりますが

ハッキリ話せるという事は

病気をされたことがあるだけに何よりも

嬉しい事ではないかと思いました。

帰りがけ次回の予約の時に

「土曜日でもいいですか」と聞かれたので

いつの土曜日かと思ったら

明後日でした。

Tさん曰く、若いころは体も弱く

内向的だったそうです。

そのため話す事は何よりも苦手だったとか。

86歳の現在、同世代は亡くなったり

病気がちで電話をしてもつながらないとか。

そのような中でTさんは

若い人以上にしっかり声が出て

なおかつ苦手な事にもチャレンジし

前向きなその姿勢に脱帽です。

地方から東京に出てきて苦労して

30歳で会社を興し、軌道に乗せ

今は息子さんに任せているそうです。

それでも朝礼で一言話すために毎朝会社に

行かれるとか。

それが張り合いになっているのかもしれません。

矢張り声を出した日はとても

快調のようです。

何と言っても声を出すことは若さと元気の源です。

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