こんにちは。
8月も最後の今日、昨日とは打って変わって
暑さが戻ってきました。
午前中、スタジオに来る前に
国立新美術館で催されている読売書法展を
見てきました。
友人が初めて出品した書が入選したからです。
以前から読売書法展に出したいとの夢が
あったようです。
ところが今年の5月
予期しないことから入院となったのです。
本人も全く予期しないシェーグレン症候群
と診断されたとのこと。
免疫のバランスが崩れることで様々な部位の
乾燥がおこるなど
原因がわかっていないため難病に
指定されているようです。
彼女にしてみればまさかの青天の霹靂です。
しかも初めて書法展に出品する前だっただけに
そのショックは計り知れません。
コロナ禍という事もあり病院にはお見舞いに行けず
慶応病院の前まで行き、そこからラインを
送ってやり取りしました。
入院中、薬の副作用で体調もすぐれず
気になる出品の事もあり
彼女の焦る気持ちがメールから
ひしひしと伝わってきました。
どんな言葉も慰めにはなりません。
出品することは諦めていないようでした。
二週間の検査入院が終わり退院となりました。
それでも月に何回かは通院して
様子を見ることになりました。
書法展の締め切りまであと一週間。
友人は無理を押して毎朝4時に起き
書き続けたようです。
何とか締め切りに間に合い
作品を送ったものの本人からのメールには
「思うように書けなかった」と話していました。
予期しない病気に見舞われ
今後も通院を余儀なくされている中
普通なら”次の機会にしよう”と
諦めがちです。
ところが彼女は挑戦したのです。
それから2か月ほどたったある日
彼女からラインが入りました。
見ると
「今朝電報が届き、読売書法展に入選しました」と
ありました。
短い文面からは彼女の喜びが伝わってきました。
どんなにうれしかったことか。
病と闘いながらそれでも書を
書き上げることが、彼女にとって
唯一心の支えだったのでしょう。
まさに思いと努力が報われたのです。
昨日、仕事の前に国立新美術館に行ったところ
何と休館日でした。
うっかり確認するのを忘れていました。
それで再度今日出かけたわけです。
書の前に佇んで見ていると
これら数か月前の出来事が浮かんできました。
病と闘いながらも
新古今和歌集、西行法師から
選んだというその歌。(写真・真ん中)
凛とした中にも優雅な筆遣い
それはまさに彼女の生きざまそのものです。
書に魅せられ、しばし
その場を離れることができませんでした。
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