話し方/you表現studio のblogへようこそ


こんにちは。


しばらくぶりにブログを開きました。

仕事に携わっている時以外

自分の中で時間が止まってしまったように

何もする気が起きませんでした。



今月6日、月曜日の午前8時過ぎ

NHKの朝ドラを見終わったころ

1本の電話が入りました。



私が話し方でお世話になった先生の

奥様からでした。


その2~3日前からご自宅にお電話しても

どなたもお出にならないので心配していた矢先だけに

奥様の声を聞いてホッとし

思わず

「あ~良かった!心配していたのですよ」と

第一声を発したのでした。




ところがその後に耳にした言葉が

「実は10月30日の未明に主人が亡くなりまして・・・」


「え~っ!・・・」

といったきり全身から血の気が引くような感じでした。



相手が何を言っているのかさえうつろでした。





少しして気を取り直し

聞くところによると先生はそれまで入院されていた

病院から他へ転院する前に一時

ご自宅に帰られたそうです。


そしてICUに入る前に奥様に

自分にもしもの事があったら書斎の

どこそこを見るようにと話されたそうです。



転院された病院でICUから特別個室に

移られた時には状態も良く奥様も幾分安心されたとか。


ところが容体が急変して

その3日後に亡くなられたとのことでした。




病名は難病の一種で動脈や静脈

その先に繋がる毛細血管が傷つけられて

障害が起こる病気のようです。



咄嗟の事であまり詳しくはお聞きしていません。





「自分に何かあった時には」という言葉通り

書斎の中を調べたところ

奥様にあてた手紙と共に遺書が出てきたとのこと。

そこには

事細かく書かれた内容が5枚ほどあったそうです。



その一つに初七日が終わるまでは

誰にも知らせず身内だけで済ませてほしい

という事、初七日が過ぎたら

初めて知らせるようにと書いてあったそうです。

それで翌日の朝、かかってきたのでした。





渋谷でトーク&コミュニケーションアカデミーという

話し方教室を30年前に立ち上げました。

その前に新宿にあった江川ひろしの話し方教室で

副所長を務められていました。

私はその当時から先生の下で指導を受けており

やがて私の同期の男性と一緒にそこを出て

新たに渋谷の桜ケ丘で先生と一緒に始めました。



いわば私の話し方の師です。


著書もたくさん出されており

特に

「人前で3分、あがらずに話せる本」(スバル舎)など

あがりに関する本はベストセラーでした。


講演活動も多くメディアにも

数多く取り上げられました。



その先生とは

金井英之先生です。


トーク&コミュニケーションアカデミーは

11年前に渋谷の再開発と先生が高齢という事もあり

クローズしました。


その後、私はここ青山で個人指導専門の

スタジオを立ち上げたのです。



話し方は勿論の事

人生の師としても尊敬できる方でした。


クローズした後も金井先生を中心に

最後まで残っていた講師たちで若葉会と言う会を作り

年に2度ほど食事会を楽しんでいました。



ところがコロナでなかなか顔を合わせる機会が減り

やっと今年の6月に天使の海老で知られる

銀座KAZANで3年半ぶりの食事会を開いたのです。



その時にはお元気で大きなエビフライを2尾しっかり

召し上がっていました。



来月12月25日(クリスマスの日)が先生の88歳の

お誕生日なのでみんなで米寿のお祝いを

しようと思っていた矢先でした。



その日程の事もあり、お宅にお電話したところ

不在。

いつもは必ず電話にお出になる奥様が出ません。


不思議に思って何度もかけてみました。

翌日も朝早くかけてもつながらず

不審に思い若葉会の仲間にも電話をしてみました。



他の人もかけてくれたのですが矢張り不在。



段々心配になってきました。

その日、午前中に近くのスーパーに行き

買い物と一緒に家にお供えする仏花を

購入してきました。


仏花特有の真ん中に白い菊が1本。

その周りに赤いカーネーションだとか

黄色い菊がセットになってレジの近くに置いてあります。


その中から良さそうなものを選んで

購入したはずが

家の近くにきたころ、真ん中の

白い菊がうなだれているのです。

見ると首から折れているのです。



何か嫌な予感がしました。


前日から気になっていた先生のお宅に電話をしても

つながらず不安が募っていきました。

翌日の月曜日、朝一番に

奥様から先生が亡くなられたとの

訃報が入ったのでした。





私自身が話し方に携わってかれこれ40年近く

師として仰いできた方が

もうこの世にいないという事が

信じられません。




年齢からすれば決して不思議ではないのですが

5カ月前には笑顔でお元気そうだっただけに

尚の事、その死を受け止めることが

出来ないでいます。




それを奥様に話したところ

「もしかしたら無理していたのかも

しれません」とのことでした。


尚の事ショックです。


奥様にあてた手紙には

「これが最後の手紙になるかもしれない・・」

と書かれ

57年の長きにわたる結婚生活での思い出と感謝。

四男であるにも関わらず

結婚当初から両親と同居をして世話をしてくれたことへの

感謝がつづられていたとのこと。

「幸せな人生だった。ありがとう」と

締めくくられていたようです。




お子さんがいらっしゃらず

奥様も高齢という事で

負担をかけないように密葬にしたのでしょう。




如何にも先生らしいと思いました。


受講生が集まらずに大変な時期もありましたが

どんなときにも人様には笑顔を見せ

穏やかでしかも豪快な笑い


人の話をよく聞き

本当に聞き上手の方だったと思います。

今は大きな心の支えを失った感じですが

学んできたことを少しでも今後に生かしていく事が

先生へのご恩返しになるかといくらか思えるように

なりました。



亡くなられて2週間が過ぎやっと

blogを開きかけるようになりました。



本当にありがとうございました。


合掌。




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